2008 Fiscal Year Annual Research Report
血液細胞間クロストークに着目した長期透析合併症の予防法の確立
Project/Area Number |
19790075
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 佐生智 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 助教 (70308013)
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Keywords | 血液透析 / 血液細胞間クロストーク / 細胞接着分子 / P-セレクチン |
Research Abstract |
血液透析の際には透析膜と血液成分の接触により白血球の活性化が惹起され, これによって生じる活性酸素等が動脈硬化や透析アミロイドーシスなど種々の長期透析合併症を引き起こすと考えられている. 透析時の白血球活性化の原因として, 従来透析膜との接触による血漿中の補体の活性化とアナフィラトキシンの生成による白血球の活性化が重要視されてきたが, 近年透析膜との接触による血小板の活性化に伴う接着分子P-セレクチンの発現, さらにこの分子を介した血小板-白血球の複合体形成が白血球活性化に寄与していることも示されている. 本年度の研究ではすでに臨床で多用され, 安全性が確立している薬物の中から血小板のP-セレクチンの発現を制御する薬物としてα-トコフェロール, およびP-セレクチンとリガンドの結合に干渉する薬物としてグリチルリチンを選びこれらがこの接着分子依存性の経路による白血球の活性化をコントロールし, 血液透析の際の白血球活性化を低減できるか否かを検討した. その結果, いずれの薬物も, 血小板におけるP-セレクチンの発現, P-セレクチンとリガンドとの結合を抑制することにより, 血液-透析膜混合時の好中球の活性酸素産生を抑制することが示された.
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