2009 Fiscal Year Annual Research Report
血液細胞間クロストークに着目した長期透析合併症の予防法の確立
Project/Area Number |
19790075
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 佐生智 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 助教 (70308013)
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Keywords | 血液透析 / 血液細胞間クロストーク / 細胞接着分子 / P-セレクチン |
Research Abstract |
血液透析の際には人工物である透析膜と血液成分の接触により補体系,血小板の活性化が惹起され,これらと白血球の相互作用によって活性化した白血球が産生する活性酸素等が動脈硬化や透析アミロイドーシスなど種々の長期透析合併症を引き起こすと考えられている.前年度までの研究により,透析膜による補体の活性化に伴って生じるアナフィラトキシンによる白血球表面のPSGL-1の局在変化と血小板の活性化に伴う接着分子P-セレクチンの発現,さらにこれらの相互作用を介した血小板-白血球の複合体形成が白血球活性化に寄与していることを示している.また血液細胞間相互作用をコントロールする物質の探索を行い,α-ルとグリチルリチンがそれぞれ血小板の活性化と血小板-好中球相互作用を血球の活性酸素産生を抑制しうることを示している.本年度の研究でな黄色ブトウ球菌の産生する免疫かく乱タンパク質Staphy lococcal superantigen-like(SSL)を利用した血液透析時の白血球の活性化抑制の可能性を検討した.その結,SSLの一種,SSL10ガヒトIgGのFc部分に結合し,古典経路による補体活性化を抑制することを明らかにいた.血液透析膜には血液中のIgGが吸着し,これが血液成分の活性化を引き起こしている可能性も示されている.SSL10またはこれをリード物質とした化合物を開発することにより,血液透析時の補体活性化を軽減できる可能性が考えられた.
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Research Products
(8 results)