2007 Fiscal Year Annual Research Report
長期開存を目指したヒト冠動脈バイパス血管の薬理学的検討
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19790082
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田中 直子 Kyushu University of Health and Welfare, 薬学部, 講師 (70322576)
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Keywords | 薬理学 / ヒト冠動脈バイパス血管 / 血管れん縮 |
Research Abstract |
平成19年度、本研究において、冠動脈バイパス血管の長期開存を目指し、以下の点を明らかにした。塩酸パパベリンの血管機能障害軽減について 1.塩酸パパベリンの血管機能障害が起こらない最小有効濃度(30μM)を明らかにするとともに、この最小有効濃度の塩酸パパベリンが、血管れん縮誘因物質の一つであるADP、セロトニンおよびノルアドレナリンの血管収縮を優位に減弱させることを薬理学的に確認した。 2.最小有効濃度(30μM)の塩酸パパべリンは、血管弛緩物質(Nitric oxide;NO)供与剤(SNP)の血管弛緩反応をむしろ増強させることを明らかにした。 血管れん縮防止薬として、これまでアンプル原液(約100mM)の高濃度で使用されていた塩酸パパベリンが、より低濃度で使用可能であることを薬理学的に確認した。 3.ヒト内胸動脈におけるセロトニンの受容体サブタイプ(5-HT_<2A>および5-HT_<1B>受容体)の存在を免疫組織学的に明らかにするとともに、5-HT_<2A>および5-HT_<1B>受容体拮抗薬が収縮反応を有意に抑制することを明らかにした。 本年度の研究結果より、冠動脈バイパス手術中の血管れん縮防止薬として現在広く使用されている塩酸パパベリンが血管機能を減弱させ、その使用の安全性が問題となりつつある中で、塩酸パパベリン使用の軽減を促せる薬理学的知見を提供できるものと思われる。さらに、塩酸パパベリン以外のれん縮防止薬としてセロトニン受容体(5-HT_<2A>および5-HT_<1B>受容体)拮抗薬使用に繋がる基礎的知見を提供できるものと思われる。
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Research Products
(3 results)