2008 Fiscal Year Annual Research Report
長期開存を目指したヒト冠動脈バイパス血管の薬理学的検討
Project/Area Number |
19790082
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田中 直子 Kyushu University of Health and Welfare, 薬学部, 講師 (70322576)
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Keywords | 薬理学 / 冠動脈バイパスグラフト血管 / 血管れん縮 |
Research Abstract |
平成20年度、本研究において、冠動脈バイパス血管の長期開存を目指し、以下の点を明らかにした。 1. 前年度(H19〜H20年度)明らかとした塩酸パパベリンの最小有効濃度(30μM)によって、血管れん縮誘因物質の一つであるADP、セロトニン(5-HT)およびノルアドレナリンに加えて、アンギオテンシンII(AngII)に対してもその血管収縮を優位に減弱させることを薬理学的に確認した。 2. バイパスグラフト血管として多用されている大伏在静脈において、5-HTによる収縮反応が観察され、その収縮に対し、サルポグレラート(5-HT_<2A>受容体拮抗薬)およびSB224289(5-HT_<1B>受容体拮抗薬)が有意に抑制効果を示すことを明らかとした。また、5-HTによる大伏在静脈の収縮には、5-HT_<2A>受容体を介した収縮が5-HT_<1B>受容体を介した収縮に比較して大きく寄与する可能性が示唆された。 3. 大伏在静脈における5-HTによる収縮反応に対し、サルポグレラート(5-HT_<2A>受容体拮抗薬)およびSB224289(5-HT_<1B>受容体拮抗薬)の両者を併用すると、その収縮反応をほぼ完全に抑制することを明らかとした。 本年度の研究結果より、内胸動脈をバイパスグラフト血管として使用する場合、冠動脈バイパス術中術後の血管れん縮防止薬として、現在広く使用されている塩酸パパベリンの使用濃度の軽減を促すことのできる薬理学的知見をさらに得ることができた。また、大伏在静脈をバイパスグラフト血管として使用する場合には、5-HT受容体(5-HT_<2A>および5-HT_<1B>受容体)拮抗薬の併用がれん縮防止薬として有効であることが示唆された。
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Research Products
(9 results)