2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖の多元的認識ベクターの開発と細胞選択的な薬物送達への展開
Project/Area Number |
19790092
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中瀬 生彦 Kyoto University, 化学研究所, 助教 (40432322)
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Keywords | 膜透過ペプチド / アルギニンペプチド / トランスフェリン受容体 / 受容体標的 |
Research Abstract |
本研究課題では、癌細胞への選択的な薬物送達を目指し、細胞膜のプロテオグリカンを認識して高効率に細胞内へ移行する膜透過性アルギニンペプチドに、癌細胞膜に高発現している受容体に対して親和性が高いペプチド配列を組み込むことで、新しい薬物送達ベクターを創製することを目的としている。 ファージディスプレイ法によって見出された、癌細胞に高い発現が認められるトランスフェリン受容体(TfR)に対して親和性の高いペプチド配列(TfRbp)と、膜透過性アルギニンペプチドの一種であるオクタアルギニン(R8)との結合体(TfRbp-R8)を調製した。血清含有培地で10分間、TfRが細胞膜に高発現しているヒト子宮頸癌由来のHeLa細胞にペプチドを取り込ませた結果、蛍光標識したTfRbp-R8(5μM)が細胞膜を高効率に通過し、サイトゾル及び核内へ移行することを共焦点顕微鏡観察にて明らかにした。一方、TfRbpのみの場合では、エンドソーム内にトラップされてしまい、細胞膜透過はほとんど観察されなかった。また、リボソーム不活化タンパク質であるsaporinをストレプトアビジン化したタンパク質(〜128kDa)と、ビオチン修飾したTfRbp-R8の複合体について、siRNAでTfRをノックダウンしたHeLaに対する細胞毒性を検討した結果、TfR依存的に顕著な細胞毒性を誘発することが示された。本研究結果は、上記ハイブリッドペプチドを用いることで、TfRを標的とする薬物送達への応用が可能であることを示唆するものである。
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Research Products
(19 results)