2007 Fiscal Year Annual Research Report
血小板凝集阻害作用を目指した、低分子偽ペプチド化合物の合成研究
Project/Area Number |
19790099
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
樋口 和宏 Meiji Pharmaceutical University, 薬学部, 助教 (60360195)
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Keywords | ペプチドミミック / パーヒドロフェナントレン / インテグリン / 血小板凝集抑制作用 |
Research Abstract |
RGD配列の立体構造が受容体結合の鍵となることが示唆されているが、パーヒドロフェナントレン骨格を基盤としてその構造をミミックした成功例は未だない。この様なミミックの合成は(1)分子サイズがペプチドのβターン骨格と適合する(2)パーヒドロフェナントレン骨格は強固なのでペプチドに比べ分解しにくい(3)ステロイド化合物の官能基変換法は従来多くの文献例があり、位置及び立体選択的な官能基変換が行いやすい(4)種々のステロイド化合物が入手可能であり、置換基の位置や立体配座を組み合わせることで、ライブラリーを構築できる利点がある。この様なコンフォメーションを系統的に解析すれば、インテグリンのファーマコフォアーの立体構造とその変化を解明する鍵になると考えられる。近年、ペプチドミメティクスを用いて、血小板凝集抑制作用薬G4120が開発された。RGD構造を有するこの化合物はαIIbβ3だけでなく平滑筋のαvβ3受容体に対しても抑制作用を有することで注目されている。一方、αvβ3インテグリンは腫瘍に関わる血管新生や破骨細胞の骨表面への接着に関与していることから、そのアンタゴニストは腫瘍転移抑制剤や骨粗鬆症の治療薬として期待されている。今年度はパーヒドロフェナントレン骨格への、効率的かつ高立体選択的な官能基導入を行うため、デヒドロエピアンドロステロンを用い、RGD配列のターン構造を模した鍵中間体を合成した。本合成ルートでは親水性の官能基を3箇所に導入することができるため、ステロイド化合物が本来有する親油性を容易にコントロールすることが可能であると考えている。
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