2008 Fiscal Year Annual Research Report
血小板凝集阻害作用を目指した、低分子偽ペプチド化合物の合成研究
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19790099
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
樋口 和宏 Meiji Pharmaceutical University, 薬学部, 講師 (60360195)
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Keywords | インテングリン / 細胞膜外粘着タンパク質 / G4120 / パーヒドロフェナントレン骨格 / RGD / 血小板凝集抑制 |
Research Abstract |
インテングリンはほとんど全ての動物細胞に存在する膜タンパク質で、フィブリノーゲン等の細胞膜外粘着タンパク質と結合する細胞の主要な接着受容体である。現在までにインテングリンには24種類のサブタイプが知られているが、このうちβ_3クラスのα_<IIb>β_3(IIb/IIIaまたはフィブリノーゲン受容体)とα_Vβ_3(ビトロネクチン受容体)は創薬ターゲットとして特に注目されている。また、蛇毒などから単離されたポリペプチドは直鎖状または環状でもRGD配列を有するものであれば、フィブリノーゲンとαHbβ3との結合を阻害し血小板凝集を抑制する。そのためRGD配列を模した低分子化合物は、潜在的な非ペプチド性α_<IIb>β_3アンタゴニストとして抗血液凝固剤になる可能性を有している。我々は、既存のαHbβ3アンタゴニストであるG4120の骨格がCupped-Shape構造であることに注目し、パーヒドロフェナントレン骨格をバックボーンとして用いれば、RGDのターン構造を立体的に模倣することができるのではないかという仮説を立て標的化合物を創案した。 デヒドロエピアンドロステロンを原料に用い、A環部へのアスパラギン酸部位の導入とD環部のアルギニン残基への変換を順次行い、標的化合物Aを合成した。さらにグアニジノ基とカルボキシル基の距離が活性に与える影響を調べるため、Aよりもアルギニン部位の炭素数が1つ少ない化合物Bを合成した。標的化合物Aの血小板凝集抑制活性を、比濁法により試験を行った。すなわち、Aについてウサギの多血小板血漿を用いて行った結果、Aは400μM以下で血小板凝集を26%抑制した。しかし、各種溶媒に対する溶解性が低いため、IC50等の厳密な活性評価をするまでには至っていない。今後、親水性基の導入を行い、溶解性の向上を目指すとともに、EIISA法によるIIb/IIIaへの特異性についても検討する予定である。
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