2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規生物活性物質メチルコーディセピンによるがん転移抑制機構の解明と治療戦略
Project/Area Number |
19790101
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
吉川 紀子 Mukogawa Women's University, 薬学部, 助手 (40373120)
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Keywords | メチルコーディセピン / がん転移 / アデノシンデアミナーゼ |
Research Abstract |
冬虫夏草(Cordyceps sinensis)は古来より中国において滋養強壮薬として用いられており、また、その特有の成分としてcordycepin (3'-deoxyadenosine)を含有している。申請者は、これまでにcordycepinが、in vivoおよびin vitroにおいてがん細胞増殖抑制作用およびがん転移抑制作用を有する一方、生体内でアデノシンデアミナーゼによって代謝されやすいことも報告してきた。そこで本年度は、アデノシンデアミナーゼによる代謝分解を受けにくいcordycepin誘導体であるN_6-methylcordycepinを用いて検討を行った。 まず、N^6-methylcordycepinの効力の持続性をcordycepinと比較するために、それぞれの存在下、高転移性のマウスメラノーマB16-BL6細胞(2×10^4 cells/well)をプレートに播いて、24、48、72、96および120時間後の生細胞数をコールターカウンターを用いて測定した。その結果、N^6-methylcordycepinの細胞増殖抑制効果は、持続的であり、120時間後においては、両者の抗がん活性の差は歴然であり、N^6-methylcordycepinのみが細胞増殖を抑制し続けた。 次に、in vivo実験では、C.B.-17/Icr-scid/scid Jclマウスの尾静脈にヒト白血病細胞であるHL-60細胞(1×10^6 cells/0.2mL PBS(-))を接種し、がん細胞接種日から、薬物を1日1回5週間連続経口投与し、マウスの生存日数を測定した。その結果、N^6-methylcordycepin 15mg/kg投与群で生存日数の延長傾向が見られた。また、薬物投与によるマウスの体重減少や脱毛などの副作用は観察されなかった。
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