2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規生物活性物質メチルコーディセピンによるがん転移抑制機構の解明と治療戦略
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19790101
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
吉川 紀子 Mukogawa Women's University, 薬学部, 助手 (40373120)
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Keywords | メチルコーディセピン / アデノシンキナーゼ / ヒト線維肉腫細胞 |
Research Abstract |
前年度の研究により、冬虫夏草に特有の成分であるコーディセピンの誘導体、メチルコーディセピンは、in vitroでコーディセピンよりも持続的な抗がん活性を示すことを見い出した。そこで今年度は、メチルコーディセピンの作用機序を追究し、さらにin vivoでの効果を検討した。 まず、in vitroで薬理学的にメチルコーディセピンの代謝機構並びに抗がん作用機序を検討したところ、メチルコーディセピンは、コーディセピンの代謝分解酵素であるアデノシンデアミナーゼによって分解されないこと、およびメチルコーディセピンの抗がん作用は、一部、アデノシントランスポーターを介したものであるが、大部分はアデノシンキナーゼを介していることが示唆された。また、in vitroでメチルコーディセピンが転移能の高い細胞として知られているHT1080ヒト線維肉腫細胞に対して特に強い抗がん活性を示したことから、in vivoでその効力を検討した。C. B.-17/Icr-scid/scid Jclマウスの足蹠皮下にHT1080細胞(1×10^6 cells/mouse)を接種し、がん細胞接種日からメチルコーディセピンを1日1回12日間腹腔内投与し、マウスの生存日数を測定した。その結果、メチルコーディセピン15mg/kg投与群の生存日数は、コントロール群と比較して有意に延長した。また、薬物投与によるマウスの体重減少や脱毛等の副作用は観察されなかった。 以上の結果より、メチルコーディセピンはヒト線維肉腫に対する抗がん薬として有用であること、および、その作用機序としてアデノシンキナーゼを介していることが示唆された。
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