2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内小器官におけるヒ素による酸化ストレス誘導の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
19790103
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 紀行 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 助教 (10376379)
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Keywords | 環境 / 酸化ストレス / シグナル伝達 |
Research Abstract |
近年、ヒ素の毒性が活性酸素種(Reactive Oxygen Species, ROS)生成と深く関与しているという見方が強くなってきた。この細胞内でのROS産生は、ヒ素によるアポトーシスや発癌とも関係していると考えられ、現在多くの研究者の注目を集めている。しかしながら、このROS産生が細胞内の「どこで」「どのように」起こっているのか、といった詳細な分子メカニズムは未だ明らかではない。本研究は、ヒ素暴露により細胞内に生じる酸化ストレスに関して、細胞内小器官レベルで検討を行い、その分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。 平成19年度には、前年度までの研究によりヒ素暴露時の活性酸素種生成において主要な役割を果たすと予想されたミトコンドリアについて、更なる詳細な検討を行った。その際ミトコンドリアとヒ素化合物との相互作用を他のオルガネラなどの影響を排除して検討するためミトコンドリア画分を調製し用いた。また、更に単純化した系として、ミトコンドリアの電子伝達系に存在するcomplex I〜IVの活性をそれぞれ独立にアッセイすることが可能なサブミトコンドリア小胞を作成し、各々の複合体とヒ素化合物との相互作用を検討した。 ミトコンドリア画分を用いた検討の結果、正常な代謝を行っているミトコンドリアに対しヒ素曝露を行うと、ミトコンドリアからのROSの産生が促進されることが明らかとなった。また、その促進効果はヒ素の化学形態に大きく依存することが示された。またサブミトコンドリア小胞を用いた研究から、ヒ素化合物と直接相互作用する複合体、ROS産生に関わる複合体を明らかにした。
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Research Products
(10 results)