2010 Fiscal Year Annual Research Report
包括的二次元高速液体クロマトグラフィーによる環境汚染物質の高精度分析法の開発
Project/Area Number |
19790108
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Research Institution | Nihon Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
村橋 毅 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (70340445)
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Keywords | 環境分析 / 環境技術 |
Research Abstract |
内分泌かく乱物質とは、環境汚染物質のうち野生生物や人の内分泌を撹乱するもので、野生生物や人が将来的に子孫を残すことが難しくなる懸念があるために近年注目されている。われわれ人類が作りだした多種類で大量の化学物質は、最終的には大気などを経由して水環境に移行する。水環境では、植物プランクトン、動物プランクトン、小魚、中型魚類、大型魚類あるいは鳥類、哺乳類の順に食物連鎖があり、化学物質に難分解性と脂溶性があれば生物濃縮され、内分泌かく乱物質の場合には有害な作用が発現することが考えられる。そこで本研究では、内分泌かく乱物質の環境動態を明らかにするために、魚介類中に含まれる内分泌かく乱物質を包括的二次元HPLCの分離条件を検討することにより分析可能とした。これまでに申請者は、芳香族化合物を高精度で分析するには包括的二次元高速液体クロマトグラフィーが有用であることを見出した。この方法は、2種類の異なる分離機構をもつ分析カラムを用い、第一のカラムで分離したものを、流路切り換えバルブを用いて、逐次第二のカラムに導入し、化合物を単一とした後に検出する。この第二のカラムで高速分離を行うことにより、多成分の分析が可能になる。今年度の研究では内分泌かく乱物質として物性が似ているフタル酸エステル類、アルキルフェノール類、ビスフェノールAを測定対象とし、種々の条件を詳細に検討した。第一のカラムとしてペンタブロモベンジル基結合シリカゲルカラムを用いる方法が高い選択性が得られた。また、第二のカラムとしてはこれまでの研究と同様にC_<18>結合シリカモノリス型(スポンジのような形状)カラムを使ったところ、十分な分離が得られ、内分泌かく乱物質の高精度分析が可能になった。
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