2007 Fiscal Year Annual Research Report
多系統マウスを用いた高脂肪食摂取に対する脂肪組織の感受性差のメカニズム解析
Project/Area Number |
19790111
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
川上 隆茂 Tokushima Bunri University, 薬学部, 助教 (40441589)
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Keywords | 肥満 / 感受性差 / 高脂肪食 / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
肥満は脂肪細胞の過剰な蓄積と定義され、現在、日本人では推計2,300万人に達しているとされる。一般的に、肥満は耐糖能異常、高血圧、高脂血症などを合併するいわゆるメタボリックシンドロームのリスクファクターとして知られている。これまで、国内外の研究および疫学調査から肥満の発症は、遺伝的素因に加えエネルギーの過剰摂取、運動不足およびストレスなどの環境要因と密接な関連性が存在することが報告されている。一方、日本人は欧米人と比較して軽度肥満であるにも関わらず、メタボリックシンドロームの発症率が高いことが報告されている。このことは、両人種間に脂肪細胞の質的差異が存在する可能性が考えられる。しかし、この脂肪蓄積や脂肪細胞の質に対する感受性差を規定する因子や責任遺伝子を同定した詳細な報告はない。本研究では、多系統マウス(Balb, DBA, C57,A/J, C3HおよびAKR)を用いて短期(2週間)あるいは長期間(24週間)、高脂肪食餌を摂取させたときの脂肪蓄積・細胞の分化増殖および脂肪細胞の質的変化に対する感受性の系統差のメカニズム解明をおこなった。 結果、(1)体重および脂肪量:高脂肪食摂取2週間および23週間で対照群と比較して著しい差が認められたのは、DBAおよびC57マウスであった。一方、AKRおよびC3Hマウスでは高脂肪食摂取による差は認められなかった。(2)血糖値:長期高脂肪食摂取によりC57マウスでは高血糖値が認められた。一方、C57マウスと同程度の肥満を呈したDBAマウスでは血糖値に差は認められなかった。(3)血漿インスリン値:C57マウスでは長期高脂肪食摂取群において有意なインスリン値の上昇が認められたが、DBAマウスでは差は認められなかった。以上、C57およびDBAマウスは肥満発症モデルであるが、両系統間には糖尿病発症に感受性差が存在することが明らかとなった。さらに、C3HおよびAKRマウスは肥満抵抗性モデルマウスであることを示し、高脂肪食摂取による肥満発症要因としてマウス系統間での遺伝的背景の差が重要であると考えられた。
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Research Products
(2 results)