2008 Fiscal Year Annual Research Report
多系統マウスを用いた高脂肪食摂取に対する脂肪組織の感受性差のメカニズム解析
Project/Area Number |
19790111
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
川上 隆茂 Tokushima Bunri University, 薬学部, 助教 (40441589)
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Keywords | 肥満 / 感受性差 / 高脂肪食 / 小胞体ストレス / マイクロアレイ |
Research Abstract |
背景 : 肥満時の2型糖尿病では、小胞体ストレスが関与することが報告された。しかし、肥満および非肥満における脂肪組織での発現変動遺伝子および発症責任組織における小胞体ストレスの感受性差は不明な部分が多い。 目的 : 昨年度では6種類のマウス系統に高脂肪食を摂取させると、肥満発症の有無がみられた。今年度は、易肥満モデル(B6およびD2)マウス、抵抗性モデル(C3H)マウスを用いて腹部脂肪における(1)組織学的検討、(2)マイクロアレイ解析、(3)小胞体ストレス負荷の系統差について検討をおこなった。 結果 : (1)組織学的検討 : 易肥満マウスでは、抵抗性マウスと比較して高脂肪食摂取による有意な脂肪細胞面積の増加が認められた。 (2)マイクロアレイ解析 : 2倍以上発現量が増加あるいは低下した遺伝子を抽出した。B6マウスでは250遺伝子(up : 119、down : 131)、D2マウスでは118遺伝子(up : 82、down : 36)およびC3Hマウスでは346遺伝子(up : 243、down : 103)であった。易肥満マウスは、メタロチオネイン-II(MT-II)遺伝子の著しい低下を示した。マウスでは4種類のメタロチオネインが存在するが、MT-II遺伝子の肥満発症に対する影響は不明であり、細胞レベルでの解析が必要であると考えられた。 (3)小胞体ストレスの関連性 : 高脂肪食摂取させた肝臓では、5系統のマウスで小胞体ストレスマーカーであるBiP/GRP78及びCHOPタンパク発現量の有意な上昇が認められた。一方、脂肪組織及び骨格筋では全てのマウス系統では上記遺伝子mRNA発現量に差はなかった。このことから、高脂肪食摂取による肥満では、小胞体ストレス発現度は組織により異なり、肝臓は感受性が高いことが示唆された。また、高脂肪食摂取により小胞体ストレス負荷状態となっても、必ずしも肥満、高血糖を認めなかったことから、その発症には他の遺伝的要因も寄与することが考えられた。
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Research Products
(4 results)