2007 Fiscal Year Annual Research Report
肥満などのエネルギー過剰時に働く核内受容体としてのPXRおよびCAR
Project/Area Number |
19790114
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉成 浩一 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 准教授 (60343399)
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Keywords | 核内受容体 / コレステロール / 転写調節 / 薬物代謝酵素 / レポーターアッセイ / エネルギー代謝 / 肝臓 / マウス |
Research Abstract |
核内受容体CARは、薬物代謝酵素や薬物トランスポーターの遺伝子発現調節に中心的な役割を果たす転写因子として知られている。一方、近年CARは脂質・糖質代謝関連遺伝子の発現調節にも関与している可能性が示唆されている。そこで本研究では、野生型マウスならびにCARノックアウトマウスにCAR活性化薬を投与し、脂質・糖質代謝関連遺伝子の肝mRNAレベルの変動を解析した。その結果、コレステロール合成に関与するいくつかの酵素の遺伝子発現にCARが関与している可能性が示された。これらの結果は、核内受容体CARの新規生理機能としてコレステロールホメオスタシスへの関与を示唆するものである。今後、遺伝子発現調節機構の詳細を明ちかにし、コレステロール代謝を制御する新たな作用点としての可能性を追求することで、新規医薬品の開発にもつながる可能性が考えられる。 本研究ではまた、薬物代謝酵素の遺伝子発現レベルと食餌中の脂質や糖質含量の関連についてマウスを用いて解析した。その結果、食餌中のコレステロール含量が低下すると、肝Cyp3a発現量も低下することが明らかとなった。また、in vitroレポーターアッセイにより、コレステロール欠乏により活性化される転写因子SREBPはマウスCyp3a11遺伝子の発現を抑制的に調節していることを見出した。以上の結果は、異物代謝と脂質ホメオスタシスが共通の転写因子を介して制御されている可能性を示している。また、ヒトの薬物代謝能には後天的要因による大きな個人差が存在することが知られているが、その原因はよくわかっていない。本研究成果を元に、食餌性因子が薬物代謝酵素の発現レベルに与える影響を分子レベルで解明することで、この個人差の原因解明の一助となる可能性が考えられる。
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