2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト・動物組織並びに遺伝子発現系を利用した薬物の肝腎振り分けの予測法の確立
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19790119
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 和哉 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (00345258)
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Keywords | 肝腎振り分け / 肝細胞 / 腎スライス / トランスポーター |
Research Abstract |
薬物の肝腎振り分けは、病態など様々な要因に起因する薬物動態・薬効・副作用の変動を予測する上で重要な情報となるため、創薬スクリーニングの初期段階で、これらを予測できる方法論の構築は必要であると考えられる。そこで今年度は、薬物動態パラメータが取得しやすい動物実験において方法論の妥当性を評価するために、ラット肝細胞およびラット腎スライスを用いたin vitro実験の結果から、ラットにおける薬物の排泄経路(肝臓・腎臓から排泄される割合)を推定するための方法論の確立を試みた。はじめに、薬物トランスポーター基質薬物であり、肝腎振り分け率が多様な12化合物を選択して、in vitro実験からの予測を行った。まず、これら化合物のクリアランスに占める組織取り込みクリアランスの重要性を示すため、integration plot法により、in vivoにおける取り込みクリアランスを求め、肝・腎臓器クリアランスと比較したところ、腎クリアランスの小さな化合物を除き、3倍程度の精度で予測できることが分かった。次にin vitro実験として、ラット遊離肝細胞およびラット腎スライスにおける初期取り込みクリアランスを求め、in vivoでの固有クリアランスの値にscale upを行なったところ、良好な予測が成立することが分かった。また、in vitroの結果からin vivoの組織クリアランスを3倍程度の精度で予測できた。これらのことから、トランスポーター基質薬物については、取り込み過程が臓器固有クリアランスの律速段階を決めているケースが多いことが分かり、in vitro取り込み実験の結果から、in vivoにおける臓器クリアランス、ひいては、その比として肝腎振り分けを予測可能であることが示された。
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