2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト・動物組織並びに遺伝子発現系を利用した薬物の肝腎振り分けの予測法の確立
Project/Area Number |
19790119
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 和哉 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (00345258)
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Keywords | 肝腎振り分け / トランスポーター / 肝細胞 / 腎スライス / 薬物間相互作用 / 薬物動態 |
Research Abstract |
薬物の肝腎振り分けは、病態など様々な要因に起因する薬物動態・薬効・副作用の変動を予測する上で重要な情報となるため、創薬スクリーニングの初期段階で、これらを予測できる方法論の構築は必要であると考えられる。そこで今年度は、昨年にラット肝細胞・腎スライスを用いて行った動物の肝腎振り分けの予測を、ヒト凍結肝細胞・ヒト腎スライスを用いた取り込み実験から得られた取り込みクリアランスを臓器固有クリアランスと考えて算出したヒトにおける肝(=腎外)クリアランス・腎クリアランスの予測を試みたところ、いずれも約3倍以内の精度でin vitro実験の結果からの予測が成立することが明らかとなった。さらに、in vitro実験からの薬物間相互作用の定量的予測についても検討するため、pravastatinをモデル化合物として用い、複数のトランスポーター阻害剤との併用時にpravastatinの体内動態がどのように変動するかについて、in vitro肝細胞取り込みおよび胆管側膜ベシクルを用いた排出輸送に対する阻害剤による阻害程度の情報を取得・利用することで定量的な予測を試みた。その結果、rifampicin, probenecidについては阻害剤の投与量依存的なpravastatinの血漿中濃度・肝臓中濃度の変動が見られた。一方、cyclosporin Aについては、旧来からの仮定である、蛋白非結合型薬物のみがトランスポーターの阻害に関与するという考え方ではなく、蛋白結合型薬物についても阻害に関わると考えないと相互作用の程度を定量的に予測できないことが示された。
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