2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトにおける薬物誘導性肝障害の評価システムの開発と応用
Project/Area Number |
19790120
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 美紀 Kanazawa University, 自然科学研究科, 助教 (70345594)
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Keywords | 代謝的活性化 / チトクロムP450 / 肝障害 / CYP3A4 |
Research Abstract |
薬物性肝障害のメカニズムの一つに代謝的活性化がある。薬物代謝を担う主要な酵素であるチトクロムP450(CYP)はヒト初代培養肝細胞やヒト肝癌由来細胞で極めて発現量が低いため代謝的活性化を予測することは極あて難しい。そこで本年度はヒトP450発現系ミクロソームとヒト肝由来細胞を用いた実験系の構築を目指し検討を行った。まずヒト肝癌由来HepG2細胞とCYP3A4発現系ミクロソームを用いてCYP3A4により代謝的活性化をうけるトログリタゾンをポジティブコントロールとして、CYP3A4存在下およびコントロール発現系存在下での細胞障害性の検討を行った。96wellプレートにてELISA法で細胞内ATP量やミトコンドリアにおける酵素活性を測定し、簡便に細胞生存率を判定でき代謝的活性化を評価できる実験系を構築した。また、CYP3A4による代謝的活性化が報告されているジクロフェナクについても同様に検討したところ、ジクロフェナクによってもCYP3A4による代謝的活性化が認められたことから、本実験系の最適条件を決定することができた。そこで、これまでに代謝的活性化が報告されていない肝毒性化合物を含めて、肝障害が報告されている薬物を用いて、本実験系におけるCYP3A4による代謝的活性化の有無を検討した。30化合物についてスクリーニングを行った。その結果、肝障害のメカニズムが明らかになっていない複数の薬物についてCYP3A4による代謝的活性化を明らかにした。しかし、CYP3A4以外のCYP分子種によって代謝的活性化が認められなかったことから、CYP3A4特異的な反応であることを明らかにした。来年度は、これら代謝的活性化が認められた薬物について、活性代謝物の検出や同定、細胞障害メカニズムの詳細な検討を行う予定である。
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