2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトにおける薬物誘導性肝障害の評価システムの開発と応用
Project/Area Number |
19790120
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
加藤 美紀 Meijo University, 薬学部, 准教授 (70345594)
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Keywords | 代謝的活性化 / チトクロムP450 / 肝障害 / CYP3A4 |
Research Abstract |
薬物性肝障害のメカニズムの一つに代謝的活性化がある。薬物代謝を担う主要な酵素であるチトクロムP450(CYP)はヒト初代培養肝細胞やヒト肝癌由来細胞では極めて発現量が低いため代謝的活性化を予測することは非常に困難である。昨年度までに、ヒト肝癌由来細胞であるHepG2細胞とCYP3A4発現系ミクロソームを用いてCYP3A4による代謝的活性化を予測する測定系を構築した。また、これまでに代謝的活性化が報告されていない肝障害性薬物30化合物ついて、CYP3A4による代謝的活性化を検討した。本年度は、昨年度代謝的活性が認められたベンゾジアゼピン系薬物に焦点をしぼり、活性代謝物の検出および同定、細胞障害メカニズムの検討を行った。ベンゾジアゼピン系薬物は構造類似体が多数存在するため、入手可能な化合物についてすべて検討を行った。その結果、ベンゾジアゼピン系薬物の中でも、7位にニトロ基を有するニトロベンゾジアゼピンのみがCYP3A4により特異的に代謝的活性化を受けることを明らかにした。その他の側鎖については、代謝的活性化に関与しないことを明らかにした。CYP3A4による代謝的活性化により生成された活性代謝物の構造解析のために、活性中間体とグルタチオンのアダクトをLC-MS/MSにて検出したところ、ニトロベンゾジアゼピンの7位の窒素原子にグルタチオンのチオール基が結合していた。また、代謝的活性化による細胞障害メカニズムについて検討したところ、CYP3A4により生成した活性代謝物はカスパーゼ3/7を活性化し、アポトーシスを誘発することが明らかとなった。本研究により、CYP3A4による代謝的活性化がニトロベンゾジアゼピンの肝障害メカニズムの一つであることが示唆できた。
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