2007 Fiscal Year Annual Research Report
miRNAによるCYP3A4の転写後調節:薬物動態研究の新展開
Project/Area Number |
19790121
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中島 美紀 Kanazawa University, 医学系研究科, 准教授 (70266162)
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Keywords | 薬物代謝酵素 / シトクロムP450 / 発現調節 / マイクロRNA / 転写因子 / 核内レセプター |
Research Abstract |
CYP3A4は肝臓および小腸に高く発現し、50%以上の医薬品の代謝に関与する最も重要な薬物代謝酵素である。CYP3A4の発現量や酵素活性には大きな個人差があり、薬効や副作用の個人差をもたらす大きな原因となっている。多くの遺伝子変異型が存在するが、遺伝子多型と表現型との関連は認められず、遺伝子多型では個人差を説明できていない。CYP3A4の誘導的発現は核内転写因子pregnane X receptor(PXR)に依存している。申請者は、CYP3A4の発現を制御している可能性のある因子としてmicroRNA(miRNA)に注目した。miRNAは約21-23塩基の小さなRNAであり、標的mRNAに相補的に結合して翻訳を抑制する。本研究では薬物代謝酵素CYP3A4とその発現を制御する転写因子PXRの発現がmiRNAによって転写後調節されている可能性を明らかにすることを目的とした。CYP3A4の3'-非翻訳領域に見出されたmiR-148が結合し得る配列をレポータープラスミドの下流に組み込み、ルシフェラーゼアッセイを行った結果、CYP3A4はmiR-148によって直接は制御されていないことが示された。一方、PXRは3'-非翻訳領域に存在するmiR-148結合配列を介してmiR-148によって制御されていることが明らかになった。複数のヒト正常肝組織を用いた検討において、PXR mRNA発現量とPXR蛋白発現量に相関関係が認められなかったことからも、PXRに転写後調節が関与していることが支持された。PXR蛋白発現量はCYP3A4 mRNA発現量と有意に相関した。以上の検討より、miR-148によるPXRの転写後調節がCYP3A4発現量の個人差の原因となっていることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)