2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト有機カチオントランスポータの変動と薬物動態学的重要性
Project/Area Number |
19790123
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本橋 秀之 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (30359822)
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Keywords | 薬学 / 腎臓 / トランスポータ / カチオン |
Research Abstract |
腎臓からの薬物排泄には尿細管上皮細胞の細胞膜に発現するトランスポータが重要な役割を果たしている。本研究ではカチオン性薬物の排泄を媒介する有機カチオントランスポータファミリーの変動の、薬物動態学的重要性について明らかにすることを目的としている。具体的には腎疾患時における有機カチオントランスポータの変動と薬物腎排泄能との関連を明らかにすることを目的とした。まず有機カチオントランスポータについて、ヒト腎組織における発現量について検討したところ、OCT2が最も高い発現量を示した。一方、ラットなどの齧歯類では発現の認められたOCT1はほとんど発現おらず、腎臓における有機カチオントランスポータの発現に種差が認められた。次に腎疾患患者における発現量について検討したところ、腎疾患患者において有意ではないものの正常腎組織と比較して低値を示す傾向が認められた。次にカチオン性薬物の排泄能を評価するために内因性カチオンであるN-methylnicotinamideの尿中排泄クリアランスについて検討を行った。NMNクリアランスとトランスポータ発現量について相関解析をおこなったところ、OCT2発現量とのみ有意な相関が認められた。さらにin vitro発現系を用いた検討によりNMNがOCT2の良好な基質となることが示された。以上より、カチオン性薬物の排泄に腎尿細管側底膜トランスポータの変動が寄与することが示された。これらの結果は腎機能低下患者において桑物療法を安全かつ適切に行う上で重要な知見である。
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