2007 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌における薬物輸送蛋白BCRPの過剰発現制御機構の解明と臨床的意義
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19790124
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
高根 浩 Tottori University, 医学部・附属病院, 主任薬剤師 (50444641)
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Keywords | 肺がん / 薬物輸送タンパク / BCRP / エピジェネティクス |
Research Abstract |
日本人肺がん患者(18検体)より得たがん組織より蛋白、DNAおよびmRNAを抽出した。抽出したmRNAを用いて、BCRP(ABCG2)および他の化学療法の薬物耐性に関与する薬物輸送タンパクであるMDR1(ABCG2)、MRP2(ABCC2)、Ctr1、代謝酵素であるGSTP1のmRNA発現量を評価(β-アクチンを内部標準物質とした)した結果、BCRP、MDR1およびMRP2の発現量に大きな個人差が認められた。一方、白金製剤の細胞内取り込み(influx transporter)に関与するCtr1およびグルタチオン抱合に関与するGSTP1の発現量には大きな個人差は認められなかった。肺がんの術後化学療法では、白金製剤とタキサン系など第3世代の抗がん剤の併用が標準治療とされている。BCRPは白金製剤であるカルボプラチンやタキサン系のパクリタキセル、ドセタキセルの基質であり、今回明らかとなったBCRP遺伝子発現量の個人差が治療効果に影響を及ぼす可能性が示唆される。さらに、MDR1およびMRP2の遺伝子発現量にも大きな個人差が認められたが、BCRP発現量との関連性は確認されなかった。以上の結果を踏まえ、現在BCRPの蛋白発現量の定量(mRNA発現量との相関を評価)およびBCRPプロモーター領域のCpGアイランドのメチル化状態の定性的および定量的評価を行い、mRNA発現量の個人差との関連性を評価している。
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