2007 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミン結合タンパク質の動態解析とその特性を利用した薬物送達ベクターへの応用
Project/Area Number |
19790126
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
永井 純也 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20301301)
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Keywords | 経ロデリバリー / キュビリン / エンドサイトーシスレセプター / Caco-2細胞 / トランスサイトーシス |
Research Abstract |
生体内には、ある特定のビタミンと特異的に結合するタンパク質が存在する。それらの内因性タンパク質は結合したビタミンを生体内に保持するとともに、標的とする組織に効率的かつ選択的に輸送することから、それらのビタミン結合タンパク質は生体が獲得した内因性ベクターであると捉えることができる。 分子量約44,000の糖タンパク質である内因子(Intrinsic Factor, IF)は、食物中から遊離したビタミンB12と結合し、IF-ビタミンB12複合体を形成する。その複合体は、回腸においてIFを認識するキュビリンと呼ばれるエンドサイトーシスレセプターによって上皮細胞内に取り込まれ、ビタミンB12の全身循環中への移行に重要な役割を果たしている。そこで、このIFを経ロデリバリーのベクターとして利用し、消化管におけるキュビリンを介したエンドサイトーシスを利用することによって難吸収性薬物の吸収が改善できる可能性を考えた。こうした可能性について解析を進めていくため、ヒト消化管における薬物吸収のin vitroモデルとして汎用されるCaco-2細胞を用いた輸送実験に着手した。まず、Caco-2細胞におけるキュビリンの発現について検討するため、PCR解析を行った結果、播種後21日目においてキュビリンmRNA由来のバンドが観察された。また、Caco-2細胞は、播種後に小腸上皮様の細胞に分化するまで、2〜3週間程度の日数が必要とされる。そこで、キュビリンmRNAの発現と培養日数の関係についてリアルタイムPCR解析を行ったところ、播種後7日、14日、21日と経日的にキュビリンmRNAが上昇していることが観察された。そこで、キュビリンのリガンドであるアルブミンを用いて、20日間前後培養したCaco-2細胞におけるトランスサイトーシス解析を行つたところ、アルブミンは吸収方向である頂側膜側から側底膜側へ経上皮輸送されることが観察された。 今後、こうしたトランスサイトーシス特性を利用した薬物デリバリーへの応用について、さらに解析を進めていく予定である。
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Research Products
(7 results)