2009 Fiscal Year Annual Research Report
RNAi創薬の実現に向けたsystemic delivery systemの構築
Project/Area Number |
19790131
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
浅井 知浩 University of Shizuoka, 薬学部, 講師 (00381731)
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Keywords | RNA干渉 / siRNA / mTOR / がん / リボソーム |
Research Abstract |
RNA干渉技術を難治性疾患の治療に繋げる上で、in vivoにおけるsiRNAデリバリーシステムの確立の重要性が一段と増している。本研究の目的は、siRNA全身投与によるがん治療を実現しうるsiRNAデリバリーシステムを開発することである。本研究では、免疫応答およびがんの増殖や血管新生などに関与するmammalian target of rapamycin (mTOR)をターゲット分子として選択し、がん治療を目指したsiRNAデリバリーシステムの構築を試みた。昨年度までに選択的にがんに集積性を示す新規siRNAベクターを開発した。一方でsiRNAベクターを含むナノキャリアの繰り返し投与時に誘導される免疫応答(ABC現象)の機構解明を実施した。本年度は、mTORの遺伝子発現を強力に抑制するカクテルsiRNA(3種のsiRNAを同時トランスフェクション)を設計し、その血管新生抑制効果について検討を行った。本課題研究で開発した新規ベクターを用いてカクテルsiRNAをヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)に導入したところ、低濃度で顕著な遺伝子ノックダウン効果が得られた。そして、mTORノックダウンによって血管内皮細胞の増殖抑制ならびに管腔形成阻害が生じ、その強力な抗血管新生効果が明らかとなった。また、新規ベクターに搭載したsiRNAをマウスに静脈内投与し、その体内動態をpositron emission tomography (PET)を用いて解析した。naked siRNAや対照ベクターに搭載したsiRNAと比較し、全身投与型ベクターに搭載したsiRNAはenhanced permeability and retention効果に繋がる長期血中滞留性を示した。さらに、がんの増殖に関与する3つの遺伝子、c-myc、MDM2、VEGFに対するsiRNAのカクテルを新規ベクターに搭載し、B16F10肺転移モデルマウスにおいてがん治療実験を実施した。その結果、siRNA全身投与によってB16F10細胞の増殖が抑えられ、優れたがん治療効果が得られた。以上の研究成果より、本研究で構築したsiRNAのsystemic delivery systemががんのRNA干渉治療に有用であることが示唆された。
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Research Products
(20 results)