2008 Fiscal Year Annual Research Report
インテリジェントポリマーを用いたin vivoドラックデリバリーの研究
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19790138
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
綾野 絵理 Jikei University School of Medicine, 医学部, 助教 (10424102)
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Keywords | インテリジェントポリマー / DDS / ナノ粒子 / PNIPAAm / 相転移温度 / PLA |
Research Abstract |
外部環境刺激に応答し、その構造・性質を変化させる機能性ポリマーを用いて、薬物放出制御機能・ステルス性を備えた新しいナノ粒子製剤を開発した。温度応答性高分子のpoly(N-isopropylamide)(PNIPAAm)と生分解性ポリマーであるPLA(ポリ乳酸)のブロック共重合体を設計し、これらとPLAとをブレンドすることにより、コア部にPLA、シェル部にPMPAAmから成るコアーシェル型の150nmサイズの温度応答性ナノ粒子が作製された。薬物として、リン酸ベタメタゾンを使用し炎症性疾患の治療を目指す。PNIPAAmは32℃付近に相転移温度(LCST)を有し、LCSTより低温では親水性を、高温では疎水性を示す。高分子の分子設計により、LCSTを体温付近や体温以上など自由に制御することが可能である。PLAにPEGを結合したPEG-PLAは親水性高分子であるPEGの効果により、血中滞留性が向上し、網内系への取り込みを回避することから、DDS製剤の開発にはよく使用されている。本研究ではPNIPAAm-PLAを用いることで、相転移温度より低温側ではシェル部のPNIPAAmの親水性状態より、PEG-PLAと同様の血中滞留性向上の効果が期待された。 当該年度は、LCST以上の温度でベタメタゾンの放出が見られたことから、温度に応答した薬物放出制御が確認された。また、蛍光色素ラベル化ナノ粒子をマウスマクロファージ様細胞へ取り込ませたところ、LCST以下では細胞への取り込み抑制、LCST以上での取り込み促進が観察された。このことから、LCST以上の温度において高分子修飾ナノ粒子表面の物性が親水性から疎水性へと変化したことにより、細胞への取り込みが促進したものと考えられた。細胞への取り込み実験において、温度刺激により、低温状態ではPEG修飾粒子と同様なステルス性を確認することができた。LCST以上では、細胞内に効果的に粒子(薬物)が取り込まれ、人体に影響の無い程度のわずかな温度変化で細胞取り込みが制御可能であることが示された。このような機能性ナノ粒子の実用化により少ない投与量による副作用の軽減、高いQOLを目指せる製剤となることが期待される。
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Research Products
(1 results)