2008 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ節を標的とする抗癌剤貯蔵無機ナノ粒子を用いた転移乳癌治療法の開発
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19790143
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 達也 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点助教 (90410737)
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Keywords | ドラッグデリバリー / ナノ粒子 / カーボンナノチューブ / 癌化学療法 / 乳癌 / リンパ節転移 / 腋窩リンパ節 / ドラッグキャリア |
Research Abstract |
カーボンナノホーン(CNH)の抗腫瘍効果増強を目指し、内部へ抗癌剤シスプラチンを内包させた。シスプラチン内包CNHを担癌マウスへ投与すると、シスプラチン単独よりも高い抗腫瘍効果を示した。CNHからのシスプラチンの制御放出がその抗腫瘍効果に寄与することが示唆され、さらに組織学的検討の結果、CNH自身が癌細胞変性活性を有することが明らかとなった。 CNH内部へ光増感剤である亜鉛フタロシアニン(ZnPc)を内包させた。ZnPcは光照射によって一重項酸素を生成し、癌細胞を死滅させる活性(光線力学作用)を有する。ZnPc内包CNHを癌モデルマウスへ投与し、その腫瘍に670nmの波長のレーザーを照射したところ、ZnPc内包CNHは顕著な抗腫瘍効果を示した。この抗腫瘍効果は光照射依存的であり、ZnPC単独、CNH単独投与時のそれよりも強力であった。ZnPc内包CMHもしくはCNH単独の水分散液にレーザーを照射したところ、37℃の分散液がいずれも10分以内に42℃以上に上昇した。この時、CNHのない水溶液ヘレーザー照射しても温度上昇は1℃程度であった。42℃は癌細胞が死滅し始める温度であることから、CNHへの光照射による発熱作用(光線温熱作用)が抗腫瘍効果に寄与していることが明らかとなった。すなわち、レーザーという外部エネルギーを利用することにより、癌治療に有効なCNHの新たな機能を見いだすことに成功した。 以上の結果は、CNHが既存の癌治療法の抗腫瘍効果を増強できることを示している。特に、腋窩リンパ節は体表に近く、光到達性の良いことから、CNHの光線温熱作用が有用であると期待できる。
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Research Products
(4 results)