2007 Fiscal Year Annual Research Report
ガレクチンによるステロイドホルモン活性および免疫バランス調節機構の解明
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19790146
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 純子 (仁尾 純子) Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 助教 (70447043)
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Keywords | レクチン / ガレクチン / 卵巣 / 黄体 / プロジェステロン / 20α-HSD / プロスタグランジン / 免疫バランス |
Research Abstract |
ガレクチンはガラクトースを含む糖鎖を認識するレクチンで、これまでに15種類のサブタイプが報告されている。我々はマウスの黄体にはgalectin-1とgalectin-3が強く発現し、これらの発現は性周期によりダイナミックに変動することを明らかにしてきた。また、galectin-3はプロジェステロンの分解酵素である20α-HSDと常に同調して発現することから、ガレクチンがプロジェステロンの活性調節に関与することが示唆された。本年度は、黄体におけるガレクチンの発現を調節する因子を明らかにすることを目的とし、実験を行った。 マウスの黄体において、プロジェステロン活性を調節する因子は脳下垂体より分泌されるプロラクチン(PRL)と子宮からのプロスタグランジンF2α(PGF2α)で、前者はプロジェステロンの産生を促進し、後者はプロジェステロン分解酵素(20α-HSD)の発現を促し黄体を退行させる。分娩後3日目の卵巣においてガレクチンとこれら調節因子レセプターの発現を比較すると、PRLレセプターの発現が強い黄体にはgalectin-1が、PGF2αレセプターの発現が強い黄体にはgalectin-3が発現することがわかった。また、マウスを強制離乳してPRLの刺激をなくすと、黄体におけるgalectin-1の発現が増強し、次いでgalectin-3と20α-HSDの発現が増加する現象が認められた。PRLの産生を阻害する薬剤であるブロモクリプチンを投与すると、黄体におけるgalectin-1の発現が増強した。一方、PGF2αの産生を阻害するインドメタシン投与により黄体内へ侵入するgalectin-3陽性マクロファージ数の増加が認められた。これらの結果から、マウスの黄体におけるガレクチンの発現はPRLやPGF2αにより調節をうけることが明らかとなった。 PRLやプロスタグランジンはリンパ系組織において免疫バランスを調節することが知られている。本研究により得られた結果は免疫系に存在するガレクチンの機能を探る上で重要な情報を提供するものと思われる。
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Research Products
(2 results)