2008 Fiscal Year Annual Research Report
核膜内膜蛋白Man1による心臓の左右非対称性制御メカニズム
Project/Area Number |
19790147
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石村 昭彦 Kanazawa University, がん研究所, 助教 (80375261)
|
Keywords | 発生学 / 形態形成学 / 左右非対称性 |
Research Abstract |
Manlは核膜内膜に局在する蛋白質で、TGFβシグナルに対する負の制御因子である。本研究では、Manl欠損マウスを作製し、その表現型解析を行った結果、その欠損マウスは心管のルーピング逆位を含む、様々なタイプの心奇形を高頻度に呈することを見出した。左右軸マーカーであるNodal、およびその下流因子(Lefty1、Lefty2、Pitx2)の発現パターンを調べた結果、これらマーカーは、いずれも両側の側板中胚葉で強く発現しており、左右非対称性を失っていることが観察された。通常、側板中胚葉におけるNodalの発現は、2体節期の結節(node)近傍の左後方側板中胚葉で初めて認められ、その後、Nodalの自己誘導活性によって前方へとその発現領域が拡がっていく。しかしManl欠損胚では、2体節期、既に前方の側板中胚葉で異所的なNodalの発現が認められた。この異所的な発現が、これまで考えられてきた「node由来のNoda1シグナル」に起因するかを調べるために、Manl欠損マウス(Man1^<Δ/+>)とNodal hypomorphic変異マウス(Nodal^<neo/+>)を交配させ、得られたダブルホモ胚(Manl^<Δ/Δ> ; Nodal^<neo/neo>)についてNodalの発現を調べた。その結果、ダブルホモ胚ではnode由来のNodalシグナルが存在しないにも関わらず、依然Nodalの発現が両側の側板中胚葉で観察された。従って、Manlは胚の前方からのNodal誘導能を持つシグナルXを負に制御することで、正常なNodalシグナルの発現制御(=左右非対称性の確立)に貢献している可能性が示唆された。以上の研究成果は、Developmental Dynamics誌(2008年237巻12号)に掲載された。また研究成果の新規性が評価され、後日改めて同雑誌のHighlightでも紹介された(2009年238巻4号)。
|