2007 Fiscal Year Annual Research Report
Ras類似低分子量GTP結合タンパク質Rigの分子機能
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19790148
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
星野 光伸 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60431962)
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Keywords | 神経系 / Ras / 低分子量GTP結合タンパク質 / Rig / 膜輪送 |
Research Abstract |
本研究課題は、脳をはじめとする神経系に顕著に発現しているがその生理機能は未知であるRas類似低分子量GTP結合タンパク質Rigをテーマとするもので、神経細胞に於いてRigがどのような生理機能を担っているのかを探索することを目的としている。これまでの研究結果から、Rigを培養細胞内に過剰発現させると粒状のRig陽性構造物が免疫染色により検出され、その局在は細胞内に取り込ませたトランスフェリンと一致した。このことから、Rigが細胞膜を介した輸送系、中でも物質のリサイクリングに関与する未知の機能を有する因子であることが強く示唆された。リサイクリング系の膜輸送のマーカー分子としてはRab11が広く知られているが、免疫染色の結果からRigはRab11と良く局在が一致し、両者はin vitroで結合することも示された。細胞内の局在の一致や両者の結合にはGTP依存性は見出されなかった。又、膜に局在しないRig変異体を発現させたところ、粒状の構造物は見出されなかった。神経細胞は、軸索と樹状突起などに見られるように顕著な細胞極性を有し、活発な代謝活性や、発生過程に於けるダイナミックな細胞移動など、本研究で対象とする細胞膜を介した輸送系、リサイクリング系物質輸送の機能が発揮されることが多い。本年度の研究結果からはそういった輸送系にRigが関与している知見を得ることが出来た。今後、Rigの各種変異体を初代神経細胞培養系に発現させることで、細胞極性や移動などにどういった影響が及ぼされるのか、更に研究を進めて行きたい。
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