2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790150
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 淳 Osaka University, 生命機能研究科, 特任助教 (00362525)
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Keywords | クローディン / ノックアウトマウス / 小腸肥大 |
Research Abstract |
クローディンは、上皮細胞間の接着装置であるタイトジャンクション(TJ)の必須構成膜タンパク質である。これまで培養細胞レベルの実験は多くあり、ファミリーを構成するクローディンの個々のメンバーの機能についても、ある程度の解析が進んできたが、生体における機能解析は不十分であった。本研究では、クローディン15ノックアウトマウスを作製し、その解析を行った。 クローディン15は、全身にユビキタスに発現するものの、主な表現型は小腸肥大として上部腸管に認められた。組織学的解析によると絨毛の長さが野生型兄妹マウスに比べ2倍程度に増加していた。BrdUの取り込みからクリプトの細胞増殖帯における細胞増殖の亢進が原因と考えられた。また、RT-PCRや蛍光染色から、クローディン15の欠損がほかのクローディンや主なジャンクション関連タンパク質の発現量や局在の変化は引き起こしていないことが示唆されるとともに、エズリンやリゾチームなどのマーカーを用いた蛍光染色から細胞の分化には異常ないことが示唆された。 ノックアウトマウスにおける超博切片電子顕微鏡像では、野生型兄妹マウスと同様なTJの形成が認められた。しかし驚くことに、フリーズフラクチャー像では、野生型マウスの角張って吻合の多いストランドとは異なる、丸みを帯びた吻合の少ないストランドが観察された。このことは、ノックアウトマウスでのバリア機能の低下を示唆したが、一般的なトレーサーであるビオチンの透過亢進は認められなかった。そこでイオンの透過性をUssing Chamberを用いて検討すると予想に反して、イオンの透過性は低下していた。このことは、腸管上皮細胞シートを挟んで、野生型マウスとは異なったイオン環境が形成されることが、結果として細胞の増殖や組織構築に影響を与えた可能性を示唆する。 TJによるイオン環境と細胞増殖の関係についてさらに解析を進めたい。
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