2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790150
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 淳 Osaka University, 生命機能研究科, 特任助教 (00362525)
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Keywords | クローディン / 腸管 / 上皮細胞 / バリア / ノックアウト |
Research Abstract |
本申請では腸管におけるタイトジャンクションの存在意義についての解析を目的とする。そのために、本年度は、以下の2つのプロジェクトを計画し解析を行った。 (1) クローディン15の生体内ホメオスタシスにおける役割;クローディン15ノックアウトマウスでは、腸管内のナトリウムを始めとする電解質濃度に劇的な変化が見出されている。特に、ナトリウムはナトリウムの吸収上皮細胞内外の濃度差を利用したグルコースやアミノ酸などの栄養吸収に影響する可能性が高く、注目された。個体は、腸管肥大をともなうほかは、一見正常に成長するが、単位表面積当たりのグルコースの吸収は低下していることが、反転腸管を用いた半生体解析などから示唆された。腸管の肥大は、そうした吸収低下を補うための代償機構である可能性が示唆される。ナトリウム依存的なグルコース以外の栄養吸収の詳細についても検討を行いつっある。また、そうした栄養吸収機構と腸管肥大を結ぶ分子機構についての検討中である。腸管内のイオン環境の変化は、循環血液のホメオスタシスには致命的な影響は与えないようであるが、生体をシステムとして捉えた観点から、さらに全身的な検討を行いたい。 (2) トリセルリンの機能解析;トリセルリンは3つの細胞が接する部位に特に発現すると考えられている4回膜貫通蛋白質である。トリセルリンの制御は、2つの細胞間にあるクローディンと比べ性質も異なる可能性があり、ドラッグデリバリーの面からも注目される。トリセルリンの欠損は、上皮細胞シートのバリアーを大きく壊す可能性があり、個体は致死となる可能性があった。そこで、通常のノックアウトの作製に加え、コンディデョナルノックアウトマウスの作製を行って来た。現在、個体が含まれる世代が得られ始めつつある段階である。個体の致死性の有無から検討を行いたい。
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