2007 Fiscal Year Annual Research Report
胸腺上皮細胞における脂肪酸結合タンパクの生体機能と作用機構の解明
Project/Area Number |
19790152
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
安達 泰弘 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 助教 (10346546)
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Keywords | 細胞分化 / 脂肪酸結合タンパク / 組織形成 / 胸腺上皮細胞 |
Research Abstract |
1.胸腺器官形成期におけるFABPの発現解析 胎生(E)10.5日目から成体期(10週齢)の胸腺組織においてE-FABP発現を検討したところ、胎生14.5日目からその発現が検出された。胸腺原器内で胸腺細胞の増殖が始まる時期はE12.5であることから、胸腺上皮細胞でのE-FABP発現には胸腺細胞との相互作用が必要である可能性が示唆された。また同時に他のFABP分子の発現も検討したところ、成体胸腺の皮質領域において脂肪細胞型(A-)FABPを発現する上皮様細胞を新たに見出した。この細胞はE16.5から出現し、多数の胸腺細胞を取り囲む胸腺ナース細胞様の形態を示し、また細胞表面マーカー解析から皮質上皮細胞の一群と考えられた。成体胸腺でのA-FABP発現は血管内皮細胞と今回新たに見出した上皮様細胞に限局していることから、A-FABP陽性上皮様細胞は胸腺内で非常に特殊な役割を担っている可能性が考えられた。 2.胸腺上皮細胞の増殖におけるE-FABPの関与 成体マウスの胸腺上皮細胞を磁気標識抗体で精製し、細胞数と増殖中の上皮細胞数をフローサイトメトリーで定量したところ、E-FABP KOマウス胸腺と野生型マウス胸腺の間に大きな差はなかった。今回行った磁気標識抗体による精製法では多量の胸腺細胞が混入し、解析が困難であったことから、補体を使用した胸腺細胞の除去法等によって上皮細胞を純化し、更に詳細な解析を施行する必要がある。 3.胸腺細胞の分化におけるE-FABPの機能 胸腺細胞の分化にE-FABPが関与するか否かを検討するため、抗CD4,CD8抗体を使用したフローサイトメトリー解析を行った結果、E-FABP KOマウス胸腺においてCD8単陽性胸腺細胞数が野生型マウスよりも少ない傾向にあることが判明した。この結果から、E-FABPはCD8単陽性胸腺細胞の分化に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)