2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790156
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
矢嶋 浩 Jichi Medical University, 医学部, 講師 (10433583)
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Keywords | 発生・分化 / 神経堤細胞 / 脊髄神経節 / 感覚神経 / Six遺伝子 |
Research Abstract |
Six1/Six4二重欠損マウスにおける一次感覚神経の異常 Six1/Six4二重欠損マウス体幹部の組織学的な解析から、脊髄神経節を構成する細胞種の異常、投射の異常、「節」としての形態の異常などが観察された(前年度報告)が、これらに加えて、脊髄内に一次感覚神経様の細胞が存在することを見出した。マウスを含む羊膜類の体幹部では、一次感覚神経の細胞体は脊髄神経節に収められており、脊髄内には存在しない。無羊膜類である両生類や魚類の幼生期、円口類のヤツメウナギ、頭索類のナメクジウオなどでは髄内に一次感覚神経細胞が存在しており、これは原始的な体制であると考え照れている。Six1/Six4二重欠損マウスにおける髄内感覚神経細胞の出現は、マウスゲノム中にもその発生プログラムがいまだに存在し、Six遺伝子のはたらきによって抑えられている可能性を示唆するものである。今後は、髄内感覚神経細胞を持つ動物種(アフリカツメガエルなど)を用いてこの仮説を検討し、Six遺伝子の脊索動物体幹部一次感覚神経進化への関与を明らかにしたい。 神経堤細胞に発現するSix遺伝子の役割 Six遺伝子は脊髄神経節を構成する神経堤細胞のみならず、周囲の間充織や筋肉にも発現が認められる。観察された表現型の原因が、神経堤細胞そのものに発現しているSix遺伝子の欠損によるものなのか否かを明らかにするため、PO-cre ; CAG-Zox-stop-nox-Six1を用いて、Six1/Six4二重欠損マウスにおいて神経堤細胞特異的にSix1を強制発現させて表現型の回復を試みた。その結果、髄内感覚神経様細胞も含め、観察された異常の多くが回復した。このことは、神経堤細胞に発現するSix遺伝子の細胞自律的なはたらきが一次感覚神経の発生プログラムに重要であることを示唆するものである。
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