2007 Fiscal Year Annual Research Report
ネトリン受容体DCCの細胞表面移行を介した大脳皮質ニューロン軸索分岐の調節
Project/Area Number |
19790157
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
松本 英子 Saitama Medical University, 医学部, 助教 (00312257)
|
Keywords | 神経回路形成 / 大脳皮質ニューロン / 軸索ガイダンス / 軸索分岐形成 / ネトリン-1 / DCC / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
神経回路形成において軸索が伸長と分岐とを繰り返し標的へと投射する際には、種々の軸索ガイダンス因子が働くことが知られている。軸索ガイダンス因子ネトリン-1の受容体の一つであるDCC(deleted in colorectal cancer)は脊髄交連ニューロン内の調節性小胞に局在しており、ネトリン-1存在下におけるプロテインキナーゼA活性化の際には、エキソサイトーシスにより細胞表面DCCが増加して、ネトリン-1へのケモアトラクションが増強されるといわれる。そこで本研究ではハムスター大脳皮質由来の初代培養ニューロンを用いて、このニューロンで知られるネトリン-1による軸索分岐形成の促進に、小胞輸送を介したDCCの細胞表面移行が関与するという仮説について検証することを目指している。 課題の初年度となる平成19年度の研究では、ハムスター新生仔大脳皮質由来の初代培養ニューロンにおいて、神経突起の分岐形成がネトリン-1によって刺激されることが確認され、その際にニューロン表面ではDCCのレベルが上昇するとともに、DCCが偏在し微細なクラスター様の構造をつくることが、抗DCC抗体を用いた蛍光免疫組織化学および白色光TIRF(全反射蛍光)検鏡により観察された。さらにこの反応が、v-SNARE(R-SNARE)タンパク質類の分解・無効化を介したエキソサイトーシス阻害剤である破傷風毒素を用いて前処理を行った際に消失したことから、このような細胞表面DCCの変化にはエキソサイトーシスが関与することが示唆された。現在、これらの現象の定量的画像解析に取り組んでおり、大脳皮質ニューロンにおけるDCCの細胞内輸送にそのリガンドであるネトリン-1が与える影響について、平成20年度も引き続き調べる計画である。
|