2008 Fiscal Year Annual Research Report
末梢神経損傷後の脊髄グリアで発現変化するプリン受容体の役割
Project/Area Number |
19790159
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
小林 希実子 Hyogo College of Medicine, 医学部, 助教 (70418961)
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Keywords | 神経因性疼痛 / P2Y受容体 / ATP / UTP / マイクログリア / 脊髄後角 |
Research Abstract |
細胞外ATPがP2X受容体を介してDRGニューロンを興奮させ痛みを起こす事が知られている一方、Gタンパク質共役型受容体はイオンチャンネルを活性化する事で疼痛の発現に関与していることが報告されている。P2Y受容体はラットではP2Y1, 2, 4, 6, 12, 14の6種類がクローニングされており、Gi、やGq/11と共役している。平成19年度は、マイクログリアに定常的に発現する代謝型P2Y12受容体が、神経因性疼痛発生の初期段階で関与することをつきとめ、平成20年にJ. Neurosciに掲載された。それに引き続き、平成20年度は、神経因性疼痛モデルの1つであるSpared nerve injury(SNI)モデルを作成後のP2Y受容体発現変化について検討を行った。 RT-PCR法を用いてmRNA発現変化の検討を行ったところP2Y6, P2Y13, P2Y14受容体mRNAがモデル作成後3日をピークに有意に増加が見られた。これらの受容体の局在を明らかにする為、in situ hybridization法にて詳細に検討しところ、P2Y6, 13, 14受容体mRNAは後角のマイクログリアで発現が増加していた。また、P2Y6受容体は、損傷を受けたmotorneuronでも増加が見られた。次に、SNIモデル作成と同時にp38MAPKのinhibitorであるSB203580を髄腔内に持続投与を行い3日後に脊髄におけるmRNAの発現を検討した結果、P2Y13, P2Y14 mRNAはVehicle投与群に比べて発現が抑制されていたが、P2Y12受容体は抑制されなかった。 このことから、活性化したマイクログリアはATP感受性が高くなることで、脊髄後角において痛みシグナルのmodulationが行われていることが示唆された。
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