2007 Fiscal Year Annual Research Report
情動による疼痛伝達制御における扁桃体の役割に関する研究
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19790160
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
森山 朋子 Osaka Bioscience Institute, 分子行動生物学部門, 研究員 (90400134)
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Keywords | 疼痛 / 情動 |
Research Abstract |
痛覚情報は、ストレスや不安、うつといった情動的な要因により影響されることがある。しかし、どのようなメカニズムで情動的要因により痛覚情報が影響されるのか解明されていない。そこで、マウスにストレスを負荷し、その後の情動行動の変化と疼痛行動の変化を観察した。まず、対照となるマウスに攻撃性の強いマウスによる1日10分間の社会的攻撃を10日間受けさせ、その後の情動行動の変化を高架十字迷路法により評価した。その結果、ストレス負荷により不安様行動が観察された。次に、不安様行動が観察されたマウスの足底皮下にホルマリンを投与し、投与部位に対するlicking、biting行動を観察した。その結果、投与直後からの10分間に観察される第1相目の反応(急性疼痛)に変化は無かったが、第2相目(炎症性疼痛)の反応は、ストレス非負荷群にくらべ、ストレス負荷群において有意に増加した。また、完全フロイントアジュバントを用いて炎症モデルを作製し、ストレス負荷による疼痛行動の変化を観察したところ、機械刺激に対する疼痛反応が増大した。以上のことから、ストレス負荷により誘発された不安により疼痛行動が変化することが明らかとなった。今後、情動による痛覚伝達変化(可塑的変化)について、スライスパッチクランプ法により、疼痛のみを発症させたマウスと、疼痛と不安行動を発症させたマウスの扁桃体神経細胞におけるシナプス応答を比較・検討する。
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