2008 Fiscal Year Annual Research Report
情動による疼痛伝達制御における扁桃体の役割に関する研究
Project/Area Number |
19790160
|
Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
東 朋子 Osaka Bioscience Institute, 分子行動生物学部門, 研究員 (90400134)
|
Keywords | 疼痛 / 神経因疼痛 / 扁桃体 / 情動 |
Research Abstract |
痛みは、人間誰しもが感じる感覚であり、生体警告系として生理的に有意義な面を持つ一方、患者のQOLを低下させる最も大きな要因になりうる。痛覚情報は、ストレスや不安、うつといった情動的要因により影響されるといったことは臨床でもよく経験される事象である。近年、中枢における情動制御にかかわる扁桃体での可塑性と痛み伝達変化の関連が注目されてきている。本研究では、情動による痛覚伝達の制御メカニズムにおける扁桃体の役割についてBDNFの機能解析を中心に検討した。マウスにsocial defeatにより長期のストレスを付加したところ不安行動の増加と疼痛行動の異常が観察された。この不安行動を起こしたマウスの扁桃体中心核内TrkB受容体阻害剤であるK252aを投与して、疼痛行動を観察した。その結果、aCSF投与群と比較し疼痛行動異常が抑制されていることがわかった。このことは、BDNFが情動による痛覚伝達異常に関わっていることを示している。また、モデル動物を用いたスライスパッチクランプ法により、疼痛のみを発症させたマウスと、疼痛と不安行動を発症させたマウスのCeA神経細胞における活動を自由行動下で検討した。その結果、疼痛のみを発症したマウスに比べ、疼痛と不安行動を発症させたマウスにおいて神経活動が亢進していることがわかった。
|