2008 Fiscal Year Annual Research Report
狂犬病ウイルスを用いた大脳皮質での立体視情報処理機構の解剖学的解明に関する研究
Project/Area Number |
19790162
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤村 裕正 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特任助教 (70444081)
|
Keywords | 大脳皮質視覚領域 / 狂犬病ウイルス / 立体視 |
Research Abstract |
平成20年度は昨年度に実施したMT領域(middle temporal area)への狂犬病ウイルス及び蛍光色素注入の結果解析を行った。それにより外側膝状体とMT領域が単シナプス結合よりも二次シナプスによる結合を多数持っているという知見が得られた。この傾向は周辺視野及び中心視野ともに同様であった。一方立体視の情報処理システムには背側視覚経路に含まれるMT領域のみではなく、腹側視覚経路の情報も必須である。そこで、MT領域の対照として腹側視覚経路に含まれ、同じ階層にあるとされるV4領域にも蛍光色素、及び狂犬病ウイルスを注入する実験を2頭のマカクサルを用いて行った。脳標本を作製しV4領域への注入が問題ないことを確認した上で、外側膝状体での定性解析を行った。興味深いことにV4領域と外側膝状体との間には単シナプス結合、二次シナプス結合が殆ど存在しないという知見が得られた。更に1頭のマカクサルを用いてV4領域と外側膝状体との3次結合を調べた。定性解析の結果V4と外側膝状体とは3次シナプス性結合をしていることが分かった。このMT領域、V4領城と外側膝状体との結合に差が存在することは新しい知見であり、今後更にもう一頭のマカクサルを用いてV4領域と外側膝状体との3次結合が間違いないことを確認した上で定量解析を行い論文としてまとめることを来年度の目標とする。
|