2007 Fiscal Year Annual Research Report
カルパイン認識配列を用いた新規カルシウム指示蛋白質による生体内カルシウム動態解析
Project/Area Number |
19790165
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高塚 賢二 Kyoto University, 医学研究科, 研究員 (70378701)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 発生学 / イメージング / カルシウム / 網膜 / トランスジェニックマウス / 組織形成 |
Research Abstract |
本研究では、細胞内カルシウム濃度をレポートする新しいタンパク質-F2C-を発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作製し生体におけるカルシウムイメージングを行うことで、「組織としての細胞群がどのようにカルシウム動態と遺伝子発現を変化させて組織として働くようになるのか」を解明する。細胞内カルシウムイオンの新規レポータータンパク質であるF2Cは、蛍光変化率が最も大きいタンパク質の一つであり、カルシウムに対するKd値が190nM、応答性能が秒単位での測定時間間隔ではFura2とほぼ相同という性質を持つことが分かっている。このF2Cを全身性に発現するTgマウスを作製し、モデル器官として幼若マウスの網膜や脳などを用いて、細胞レベルで遺伝子発現による形態変化と膜興奮性獲得の経時的変化の連関を捉え、組織レベルで神経ネットワークの形成の発生段階による変化を捉えることを目的とする。平成19年度の研究では、ベクターを作製しTgマウスの作製を外部受託した。作出後の遺伝子解析でトランスジーンを持つマウスが9匹得られ、そのうち7匹のFounderマウスの子どもにF2Cが遺伝することが判明した。平成20年度の研究では臓器での発現を確認し、網膜あるは脳で発現するマウス系統が得られたときには、発生段階でのカルシウム動態の変化すなわち細胞の興奮性の獲得を光学的手法を用いて経時的に捉える。さらに電気生理学的手法によるカルシウム流入を確認とともに、微小電極を利用した単一細胞からのRNA抽出を試みる。抽出によって得られたRNAを解析し、発生に伴うカルシウム動態すなわち機能的変化と、遺伝子発現の変化がどのように起こるのかを解明することを目標とする。
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