2008 Fiscal Year Annual Research Report
CLIC4チャネルによる核内クロライド濃度変化を介した細胞増殖メカニズムの解明
Project/Area Number |
19790168
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
宮崎 裕明 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (30360027)
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Keywords | 核 / C1^-濃度 / CLIC4 / 細胞増殖 / 細胞周期 |
Research Abstract |
これまでの我々の研究結果より、細胞質内のC1-濃度変化によって細胞周期が調節されていることが明らかになった。胃ガン由来細胞株であるMKN28細胞を低Cl-濃度培地で培養を行ったところ、有意な細胞増殖の抑制が認められた。また、同条件で細胞周期の解析を行ったところ、GO/G1期細胞の割合が増加していた。以上のことから、MKN28細胞では、低クロライド環境下においてG1期からS期への進行が抑制(G1/S arrest)されることが明らかとなった。そこで、細胞周期進行に対するCl-の影響をさらに詳しく検討するため、MKN28細胞の細胞周期を同調させ、各細胞周期ステージの進行に対するC1一の影響について検討を行った。各細胞周期ステージに同調させたMKN28細胞に低Cr処理を行ったところ、G1期からS期への進行が著しい遅延を受けたが、その他の細胞周期ステージの進行には有意な影響は認められなかった。また低C1^-処理は、mitogen-activated protein kinase(MAPK)の活性化を誘発することで、細胞周期のG1期からS期の進行を抑制するp21タンパクの発現を亢進することが明らかになった。MAPKを介した転写制御は核内で起こることや、p21などの細胞周期調節タンパク質は細胞の核内で機能していることから、細胞質内のC1-濃度変化が核膜に存在するC1^-チャネル(CLIC4)を介し核内のC1^-濃度に対しても大きく影響を与え、その結果核内の細胞周期調節タンパクの活性に影響を与えているものと考えられた。
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