2008 Fiscal Year Annual Research Report
内耳外有毛細胞に存在する膜電位作動性モータータンパク質複合体の同定
Project/Area Number |
19790176
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 政之 National Institute for Physiological Sciences, 分子生理研究系, 特別協力研究員 (20442535)
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Keywords | プレスチン / 内耳外有毛細胞 / SLC26陰イオントランスポーター / モータータンパク質 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、内耳外有毛細胞(OHC)に特異的に発現しているモータータンパク質プレスチンの結合タンパク質の探索を行った。昨年度は2種の方法でプレスチン結合タンパクの探索をしたが、どちらの実験系においてもバックグラウンドが高く、同定には至らなかった。これらを踏まえ今年度はYeast two-hybrid(Y2H)法による探索に集中し、以下のようにスクリーニング条件の検討・最適化をし、プレスチン結合タンパクの同定を目指した。 昨年度同様、まずプレスチンのC末端の細胞内領域とベイトし、ライブラリーを十分カバーするようなスケールでスクリーニングを行った。結果、いくつかの候補分子(アンキリンBなど)が得られたが、実際にタンパク質同士が結合しているかどうかを、組換えタンパクを用いたプルダウン法、もしくは培養細胞に発現させて免疫沈降法により確認したが特異的な結合は検出できなかった。 次にY2Hスクリーニングの際のバックグラウンドを低減させるための検討(より厳しい選択培地の使用等)や、ベイトとするC末端の細胞内領域の変更を行ったがめぼしい結果は得られなかった。最後にポジティブコントロールとして既に報告のあるプレスチンのC末端の細胞内領域同士の結合をY2H法により検出を試みたが、期待された相互作用は検出できず、この系でプレスチン結合タンパクを探索するのは適当ではない可能性が高いと考えられた。 以上のように2年間プレスチン結合タンパクの探索をしたが、いくつかの問題点が解決できず最終的な結合タンパク質の同定には至らなかった。最近、プレスチンが細胞骨格系タンパクβVスペクトリンと間接的に結合すること、また膜タンパク用に改良されたY2H法を用いて何種類かのプレスチン結合タンパク質の存在が報告された。今後、これら報告された候補分子とプレスチンとの相互作用の解析を通して、OHCに存在する膜電位作動性モーターの分子実体が解明されていくものと期待される。
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