2007 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫系を制御するプロバイオティクスによる炎症性腸疾患の予防と治療
Project/Area Number |
19790177
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
楠本 健二 Yamagata University, 地域教育文化学部, 助教 (90398008)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / プロバイオティクス / 自然免疫 / Toll-like-receptor |
Research Abstract |
【背景と目的】炎症性腸疾患は、主に潰瘍性大腸炎とクローン病に大別される難治性免疫疾患である。その病因・病態についてはまだ十分に解明されていないが、遺伝的素因、環境要因が複雑に絡み合った免疫機能の破綻によるものであると考えられている。近年では、炎症性腸疾患に対する治療法の一つとして腸内細菌叢に対して影響を与える乳酸菌やビフィズス菌といったプロバイオティクスの有用性が注目され、研究されている。このような炎症性腸疾患の発症やプロバイオティクスによる治癒に関しては、細菌やウィルスの菌体成分を認識するToll様受容体(以下、TLRとする。)の関与が示唆されている。そこで本研究は、これまでに報告例の少ないプロバイオティクス候補菌(以下、候補菌とする。)を用いて、候補菌が炎症性腸疾患の予防または治癒に対して有効であるか明らかにすることを目的とし、TLRを介するシグナル経路に注目し検討を行った。 【方法と結果】本年度は、ヒト大腸癌由来のcell lineであるT84細胞とHT-29細胞を用いて、炎症性サイトカインによる細胞傷害に対する保護作用について検討を行った。T84細胞とHT-29細胞にTNF-αを添加し、継時的なIL-8mRNAの発現についてはリアルタイムPCR法を用いて解析を行った。細胞にTNF-α(20 ng/ml)を添加すると、一過性にIL-8mRNAの発現が認められた。しかしながら、候補菌で前処理した細胞ではIL-8mRNAの発現が有意に抑制されていることを明らかにした。さらに、候補菌の処理方法についても検討を行ったが、この結果については現在解析中である。また同時進行で、炎症性腸疾患類似腸炎発症モデル動物を用いての解析を行っている。
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