2008 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫系を制御するプロバイオティクスによる炎症性腸疾患の予防と治療
Project/Area Number |
19790177
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
楠本 健二 Yamagata University, 地域教育文化学部, 助教 (90398008)
|
Keywords | 炎症性腸疾患 / プロバイオティクス / 自然免疫 / Toll-like receptor |
Research Abstract |
【背景と目的】難治性免疫疾患である炎症性腸疾患に対する有効な治療法のひとつとして、プロバイオティクスがあり、これらに関して精力的に研究が行われている。本研究課題では、これまで報告例の少ないプロバイオティクス候補菌(以下、候補菌とする。)を用いて炎症性腸疾患に対する腸炎抑制効果とそのメカニズムについて検討してきた。昨年度は、ヒト大腸癌由来の細胞を用いたin vitrcでの検討を行った。本年度では、2種類の炎症性腸疾患類似腸炎発症モデル動物を用いて候補菌の有用性についてin vivoでの検討を行った。【方法と結果】1. デキストラン硫酸(DSS)誘発大腸炎モデルマウスに対する候補菌の作用 : 雌BALB/cマウスに5%DSSを自由飲水させると、飲水開始後3-4日目より血便、軟便、体重減少などが認められた。飲水開始8日目に頚椎脱臼にて安楽死させ、大腸の長さを測定し、炎症の程度を肉眼的スコアによって確認した。候補菌の投与により体重の減少や大腸短縮の抑制が認められた。炎症の程度の指標である肉眼的スコアの減少も見られ、腸炎症の改善傾向が認められた。2. トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)誘発大腸炎モデルマウスに対する候補菌の作用 : 雌BALB/cマウスに100mg/kgの濃度でTNBSを注腸すると、2日目より血便、軟便、体重減少などが見られた。また腸粘膜上皮細胞における炎症性サイトカインmRNAの発現は候補菌投与群においてIL-1β、IL-12p40、TNF-αmRNAの発現が抑制されていた。一方で、IL-10 mRNAの発現は候補菌投与群で亢進していた。このように候補菌は炎症性サイトカイン応答を制御し、大腸炎の病状を軽減させる可能性があることを明らかにした。
|