2008 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス応答タンパク質A170による新規摂食調節機構
Project/Area Number |
19790178
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
蕨 栄治 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (70396612)
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Keywords | A170 / Sequestosomel / p62 / 摂食調節 / メタボリックシンドローム / レプチン |
Research Abstract |
A170(別名Sequestosomel, p62, ZIP)は、酸化ストレスにより発現誘導される遺伝子として見出されたものである。近年、A170はタンパク質分解経路であるオートファジーや自然免疫、また様々なシグナル伝達を調節する細胞内アダプタータンパク質として機能すると考えられている。我々は独自にA170欠損(KO)マウスを作製したところ、KOマウスは加齢とともに過食に起因する著しい肥満症、メタボリックシンドロームを呈することを見出した。本研究では、KOマウスの病態の解析、および肥満を引き起こすメカニズムを解析することでA170の生理的機能を明らかにすることを目的とした。A170 KOマウスは過食を引き起こしているため、まず摂食調節に重要な中枢神経、とくに、視床下部領域におけるA170の発現パターンを解析した。これには摂食調節に重要であることが知られているPOMC神経、NPY神経でGFPを発現するマウスを用いることでより詳細な解析を試みた。その結果、A170はほとんど全てのPOMC神経に発現していることが明らかになり、この神経において何らかの重要な役割を持っていることが予想された。そこでPOMC神経に作用することが知られている摂食抑制ホルモンであるレブチンの薬理的作用を調べた。その結果、KOマウスでは、レプチンの脳室内投与による摂食抑制効果がほとんど見られず、レプチン抵抗性となっていることが明らかになった。これらのことから、A170はレプチンの生理的作用に必要な新規な因子であり、その欠損によりレプチン作用低下による過食症が引き起こされ、それに伴う肥満、メタボリックシンドロームを発症することが明らかになった。
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