2008 Fiscal Year Annual Research Report
飽和脂肪酸による脂肪組織浸潤性マクロファージの活性化機序とインスリン抵抗性
Project/Area Number |
19790179
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
平坂 勝也 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (70432747)
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Keywords | マクロファージ / 飽和脂肪酸 / ユビキチンリガーゼ |
Research Abstract |
肥満は、脂肪組織における慢性的な軽度の炎症反応を示し、特に脂肪組織へのマクロファージの浸潤増大によって特徴づけられる。我々は、既にCb1-b遺伝子欠損マウスにおいて脂肪組織へのマクロファージの浸潤が認められたことを報告している。本研究では、肥満によるマクロファージの活性化を介したインスリン抵抗性の発症機構の解明を目的とし、マクロファージにおけるCb1-bの役割について検討した。 in vitroにおいてCb1-bを強発現させたマクロファージ由来の細胞およびCb1-b遺伝子欠損腹腔マクロファージを用い、飽和脂肪酸によるサイトカイン発現上昇への影響を検討した。さらに、in vivoではCb1-b遺伝子欠損マウスへの5週間あるいは18週間の高脂肪食(飽和脂肪酸を多く含む)負荷を行い、脂肪組織へのマクロファージの浸潤および活性化、インスリンシグナル経路への影響を検討した。 マクロファージ由来の細胞において、飽和脂肪酸によるサイトカインの発現上昇がみられた。Cb1-bを強発現させたマクロファージ由来の細胞では、その発現上昇が抑制されたのに対し、Cb1-b遺伝子欠損腹腔マクロファージではその発現上昇がさらに増大した。Cb1-b遺伝子欠損マウスに高脂肪食を負荷したところ、野生型マウスと比較し、脂肪組織へのマクロファージの浸潤増大が早期にみられ、インスリン抵抗性がさらに悪化した。 以上の結果より、Cb1-bは飽和脂肪酸によるマクロファージの活性化を負に調節し、特にインスリン抵抗性を引き起こすサイトカインの発現機序に関与することが示唆された。これらのことから、Cb1-bはII型糖尿病治療の重要な分子ターゲットになりうると考えられる。
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Research Products
(8 results)