2008 Fiscal Year Annual Research Report
幼弱期の脳で合成される脳ニューロステロイドは神経回路構築を調節する。
Project/Area Number |
19790181
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石井 寛高 Nippon Medical School, 大学院・医学研究科, ポストドクター (20445810)
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Keywords | 脳ニューロステロイド / エストロゲン / GnRH / アロプレグナノロン / GABA_A受容体 / ステロイドホルモン / メラトニン |
Research Abstract |
脳は、局所的にステロイドホルモン(ニューロステロイド)を合成する。ニューロステロイドとして従来からのよく知られているアロプレグナノロンのみならず、脳、特に記憶・学習の中枢である海馬は、エストロゲン(女性ホルモン)をも合成し、シナプス可塑性を調節している(Hojo et al, Mol. Cel. Endocrinol.(2007))。 GnRHニューロンはGABAに対して興奮性を示し、幼弱期ニューロンの特徴を持つ(Yin et.al., J. Neuroendocrinol.(2008))。この細胞は、神経伝達に関わる各種イオンチャネルや受容体を発現している(Kato ei al. J. Neuroendocrinol(2009))。それゆえ、幼弱神経細胞のモデルとしてGnRHニューロンを用い、脳ニューロステロイドによる神経活動の調節機構の解析を行った。GnRHニューロンは、ニューロステロイドに感受性の高いタイプのGABA_A受容体を発現しており、アロプレグナノロン及びTHDOC(tetrahydroxydeoxycorticosterone)といった一連のニューロステロイドは、興奮性GABAA受容体電流を急性的に増強した。 脳ニューロステロイド産生は、睡眠ホルモンであるメラトニンによって調節されることが筒井グループの報告で明らかになっている。メラトニンは、MTI及びMT2という2種類の受容体を介して作用を発揮する。ラットではこれら受容体が同定されておらず、メラトニン作用の研究が滞っていた。それゆえ、ラットでこれら受容体を同定し、生化学解析・発現解析を行った(Ishii et.al. J. physiol.Sci.(2009))。GnRHニューロンでは、MT1受容体が発現しており、電気生理学的解析からGABAA受容体電流を急性的に調節した。さらに、細胞株(GTI-7細胞)を用いた解析では、MTI受容体はGnRHの作用により発現が抑制されることが判明し(Ishii et.al. Neuroendocrinology(in press))、幼弱期でのメラトニン作用の重要性が示唆された。
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Research Products
(11 results)