2007 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド性神経伝達物質の遊離機構の分子基盤と遊離制御システムの解明
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19790189
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
唐 和斌 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10403502)
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Keywords | Substande P / Dorsal root ganglion neurons / Dorsal root ganglion non-neuronal cells / Neurokinin-1 受容体 / TRPV1 / Capsaicin / Ca^<2+>ion / Neuropeptide release |
Research Abstract |
Substance Pはアミノ酸11個からなる神経ペプチドで、一次知覚神経細胞体で生合成され、軸索輸送により中枢及び末梢側の終末に運ばれ遊離されることで痛覚情報の伝達を担っている。本年度研究では、ラジオイムノアッセイにより、ラット後根神経節(DRG)細胞におけるcapsaicin及びneurokinin-1受容体作動薬によるsubstance P遊離機構の解明を試みた。 細胞外Ca^<2->イオン存在下において、100 nM capsaicinによるDRG細胞からの速いsubstance P遊離は、phosphoinositide3キナーゼ(PI3K)阻害剤、IP_3受容体拮抗剤及びTRPV1拮抗剤により減衰された。一方、細胞外Ca^<2+>イオン非存在下におい高濃度(1μM)capsaicinによる速いsubstance P遊離は、MAPキナーゼであるERKの阻害剤(U0126)及びTRPV1拮抗剤によって完全に阻害され、細胞内Ca^<2+> storesの枯渇によっても有意に抑制された。 また、DRG細胞において、neurokinin-1受容体を介したneurokinin-1受容体作動薬(substance PとGR73632)による遅いsubstance P遊離は、protein kinase C, U0126及びCOX-2活性阻害剤によって完全に阻害された。すなわち、NK-1受容体作動薬でG-タンパク質共役受容体誘発遅いsubstance P遊離が増加することを確認し、substance P誘発substance P遊離機構の存在を明らかにした。 さらに、免疫染色方法でsubstance Pの局在は神経細胞にしか存在しないことを確認し、ラジオイムノアッセイ法で有害刺激に対して神経細胞からのsubstance P遊離が非神経細胞に依存する遊離機構を明らかにした。 本研究ではsubstance P遊離機構の分子基盤を明らかにしながら、非神経細胞の神経ペプチド遊離制御作用を確認した。このようなデータの結果を踏まえ最終年度となる来年度はDRG細胞においての抗がん剤治療薬パクリタキセルのsubstance P遊離作用の作用機序、とDRG細胞におけるsubstance P遊離機構に対する非神経細胞の機能についてさらに検討を進めたい。
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Research Products
(5 results)