2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規アミロイド低下剤KM3558の作用機序の解明とマウスにおける効果の測定
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19790194
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
浅井 将 Saitama Medical University, 医学部, 助教 (90383223)
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Keywords | アルツハイマー病 / セクレターゼ / アミロイド前駆体蛋白質 / プロテアーゼ / KM3558 / チロシナーゼ / メラニン / 阻害剤 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(Alzheimer's disease, AD)の根本的治療には、脳内に沈着するアミロイド(amyloid-β peptide, Aβ)を減少させることが必要であり、産生抑制、分解促進、沈着抑制ならびに沈着Aβの溶解などを標的とした薬剤の開発が行われている。対処療法しかないADに対し、新規治療薬候補を探索するために培養細胞を用いてAβ量を減少させる化合物をスクリーニングしたところ、分子量200程度の新規化合物であるKM3558を見出した。KM3558は濃度依存的にAβ産生を有意に低下させるが、いくつかの神経系培養細胞においては細胞毒性を示した。そこで、KM3558が有する官能基を修飾した化合物を合成したところ、細胞毒性が低減する化合物を得られた。また、KM3558と同程度のAβ産生を抑制する効果を持つ化合物KM3558Aをラットに経口投与すると、体内でKM3558に代謝されて約50%の生物学的利用能を有していた。KM3558Aは経口投与が可能なAD治療に対する有用な薬剤候補として考えられた。近年、KM3558を修飾した化合物がメラニンを産生する酵素であるチロシナーゼを阻害する作用を有していることが報告された。APPおよびチロシナーゼもI型膜蛋白質でγセクレターゼの基質となることから、KM3558がγセクレターゼ活性を阻害することが示唆された。
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