2008 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞成長因子の異常とニトロ化ストレス誘発糖尿病性血管障害の病態機序の解明
Project/Area Number |
19790197
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
小林 恒雄 Hoshi University, 薬学部, 講師 (90339523)
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Keywords | 糖尿病 / 血管 / 活性酸素 / ノンスリン / アンジオテンシン |
Research Abstract |
糖尿病時においては、成長因子であるインスリン、アンジオテンシンなど様々な因子により、血管障害を誘発する。今回の研究により、アンギオテンシンtype1受容体阻害薬であるロサルタンは、2型糖尿病時において、Akt/Protein kinase Bの活性化によって、減弱した血管内皮細胞、NO産生を改善する事を報告した。更に、ロサルタンは、糖尿病時のインスリン処置動物や2型糖尿病ラットにおいて、エンドセリンの収縮増加、高血圧を生じるが、この機序としてMAP kinaseの活性化を抑制することによって、これらの症状を回復することも報告した。以上のことから、糖尿病状態においては、アンジオテンシンとインスリン値などの複合的な異常によって、糖尿病性血管障害が生じることを示した。また、内皮依存性過分極因子(EDHF)において、メトホルミンは2型糖尿病ラットにおいて生じるEDHFの低下を改善する。その機序として、メトホルミンが収縮性プロスタノイドの産生を抑制し、その結果EDHFを改善することを報告した。更に、トロンボキサン阻害薬は、EDHFを改善することによって内皮細胞機能を改善することを報告した。これらのことは、糖尿病時においては収縮性プロスタノイド類の増加は、血管収縮だけでなく、内皮依存性弛緩因子であるEDHFを抑制していることを示唆した。以上のことから、これらの成長因子は、糖尿病時において複合的に作用していることが明らかであるが、これらの因子に共通するのは、酸化ストレスの増加であり、実際、昨年度において、インスリン、過去の我々の研究から、トロンボキサンは、活性酸素を増加し、様々なタンパク質をニトロ化する事を報告している。よって今回の研究から、糖尿病時において、成長因子の増加を抑制することは、ニトロ化等の酸化ストレスを抑制し、糖尿病性血管障害を予防・改善できるものと期待できる。
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Research Products
(29 results)