2007 Fiscal Year Annual Research Report
インスリンによる糖尿病性細小血管障害促進メカニズムに関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
19790198
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
松本 貴之 Hoshi University, 薬学部, 助教 (30366835)
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Keywords | 糖尿病 / 血管内皮細胞 / 酸化ストレス / インスリン / 細小血管障害 |
Research Abstract |
1.糖尿病モデルラット胸部大動脈に高濃度のインスリンを暴露すると、過剰な活性酸素、ならびに peroxynitriteが産生し、これらが、sarco/endoplasmic reticulum calcium ATPase活性を低下させその結果内皮依存性弛緩反応を減弱させることを明らかとした。 2.糖尿病モデルラットに対してインスリン抵抗性改善薬のピオグリタゾンを慢性投与することによる内皮依存性弛緩反応への影響について検討したところ、ピオグリタゾン慢性投与は、アセチルコリンによる内皮依存性弛緩反応及びNOシグナリングが改善すること、SOD活性増加、NAD (P) H oxidase活性低下といった、酸化ストレスを軽減させること、さらには、AP-1シグナリング抑制によるET-1産生低下を引き起こすことを明らかとした。 3.2型糖尿病モデルラット脳底動脈において、内皮依存性弛緩反応が減弱し、これはNAD (P) H oxidase活性増大に伴った活性酸素増大によりNOバイオアベイラビリティーが低下することによることを明らかとした。 4.2型糖尿病モデルラット腸問膜動脈において、内皮由来因子のバランスの変化(収縮因子増大、弛緩因子減弱)を明らかとし、この不均衡性は酸化ストレスの増大に起因している可能性を明らかとした。以上の研究結果より、高インスリン病態あるいはインスリン抵抗性病態をはじめとする、糖尿病性血管障害に対して、酸化ストレスが主要な機能障害の原因であることを明らかとし、これらのターゲットの幾つかを分子レベルで明らかとした。4の研究と合わせて考えると、細小血管障害においても酸化ストレスが深く関与していることが考えられ、酸化ストレス産生源となる因子、及びこれらのターゲット因子を調節することによって、細小血管障害を改善することが出来る可能性を見いだした。
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Research Products
(15 results)