2008 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞作働分子の相互作用による血管機能の病的変化の誘導機構に関する研究
Project/Area Number |
19790200
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
藤田 佳子 National Cardiovascular Center Research Institute, 脈管生理部, 室員 (30416218)
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Keywords | 動脈硬化 / LOX-1 / 虚血性心疾患 / 酸化LDL |
Research Abstract |
本研究の目的は、血管病変を引き起こす病態下で特徴的に内皮細胞に働いてその機能変化を導き、ひいては病態全体に影響を与える分子についてlectin-like oxidized LDL receptor (LOX-1)との関連を中心に、その意義を明らかにすることである。酸化LDLの受容体であるLOX-1は、血管内皮細胞の病的な機能変化を媒介する分子として考えられている。一方、 C-reactive protein (CRP)は、虚血性心疾患の予測因子、急性冠症候群のマーカーとして注目されており、生理活性作用をもつことが示唆されているが詳細は明らかにされていない。 今回、循環器疾患におけるCRPの生理活性発現にLOX-1がどのように関わっているかを検討した。その結果、LOX-1にCRPが結合し、血管反応に関与していることが明らかとなった。 LOX-1にCRPが結合することを、ヒトLOX-1発現細胞を用いた系、及びELISAプレートにLOX-1蛋白を固相化した無細胞の系で確認した。さらに、生体内での反応をみるため、LOX-1発現が顕著に亢進している脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットSHR-SPを用いて実験を行った。ヒトCRPを皮内注射すると、静注したエバンスブルーの漏出から血管透過性の亢進が観察された。ヒトCRP注射部位では白血球の浸潤、補体活性化が免疫組織化学により検出され、それらの血管反応は抗LOX-1抗体によって抑制された。 酸化LDLの受容体であるLOX-1が、CRPの受容体でもあることがわかった。2つの危険因子が共通の分子LOX-1を受容体として作用することで心血管病を促進する可能性が示唆された。CRPとLOX-1の相互作用を抑制することが、治療のターゲットになることが期待される。
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Research Products
(3 results)